損害保険料料率機構は、自賠責保険の後遺障害認定に関する運用を変更しました。
これにより、既に障害を持っている方が交通事故により新たな部位にしびれなどが生じた場合、後遺障害として認定されることとなりました。
既に障害がある方の後遺障害認定
既に障害をお持ちの方(障害の原因は問いません)が交通事故によって新たな後遺症が残った場合、部位によって取り扱いが異なります。
既に障害があった部位と別の部位に新たに後遺症が残った場合は、後遺障害等級表に従って保険金が支払われるのですが、既に障害があった部位と同一の部位に後遺症が残った場合は「加重」の取り扱いをします。
加重による後遺障害認定では「事故によって認められる後遺障害等級」の保険金額から「事故前に既にあった障害の後遺障害等級」の保険金額を差し引いた額が、自賠責保険金として支払われます(事故前と事故後の後遺障害等級が同一であれば、保険金は支払われません)。
神経系統はひとくくり
上記の取り扱いでは、障害がある部位と別の部位に後遺症が残った場合は自賠責保険金が受け取ることができます。しかし、既にしびれや麻痺がある方が、交通事故によって新たに別の部位にしびれや麻痺が出ても保険金を支払われませんでした。
後遺障害等級5級には「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」というものがあります。
神経系統と一括りになっているため、元々麻痺などの障害がある方が新たに別の部位に麻痺が生じても、事故前の神経系統の障害と同一視され新たな障害が生じたとみなされなかったのです。
したがって、既に神経系統の障害がある方が自賠責保険金を受け取るには、加重の場合のみだったのです。
例えば、事故前に後遺障害等級5級に相当する神経障害を持つ方が、交通事故により3級の「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」に相当する後遺症になれば、加重の取り扱いとなり3級と5級の自賠責保険金額の差額を受け取ることになります。
「神経系統」と一括りにするから、被害者に寄り添った後遺障害認定が出来なかったのです。この運用が変わることは非常に良いことですが、当然のことです。自賠責保険は交通事故被害者に最低限の補償をするためのものですから、本来は被害者の立場に立って運用されるべきなのです。
後遺障害認定の「被害者請求」は自分で手続きをするのがお勧め
もし、交通事故にあって後遺障害認定をすることになったら、ご自身で手続きをする「被害者請求」をお勧めします。
加害者の保険会社を通して手続きする方が楽ではありますが、保険会社は早く事故処理を終わらせたいため治療の打ち切りを求めてきます。
保険会社の言う通りに治療を打ち切り保険金を受け取ると、その後に障害が悪化してもその分の保険金はもらえません。
また、後遺障害認定は書面によって行われますが、保険会社は被害者が有利になるような書面を積極的に用意しないこともあります。
重い後遺症が残るとそれだけ加害者の賠償金の金額も上がり、結果として保険会社が支払う保険金が増える可能性もあるからです。
後遺障害認定は提出した書面のみで判断するので、保険会社に手続きを任せてしまうと、被害者に有利な書面を積極的に準備しようとはしないでしょう。
たとえ手続きが大変だとしても、被害者請求をお勧めします。
しっかりと治療し、症状固定(これ以上治療をしても、症状がかわらない状態)をしてから後遺障害認定を行いましょう。被害者請求をする場合、自賠責保険からすぐに仮払金を受け取ることもできるので、示談を待たなくても当面の費用を賄えます。
自賠責は被害者のための保険です。被害者の方が安心して治療をし、適切な保険金を受け取れるために運用していって欲しいですね。
(以下はニュース記事からの抜粋です)
新たなしびれも救済=自賠責、運用変更―障害者の後遺症
障害者が交通事故に遭った際の保険金支払いをめぐり、自動車損害賠償責任(自賠責)保険の損害調査を行う「損害保険料率算出機構」(東京都新宿区)が、新たに生じた体のしびれなどを後遺症として認定するよう運用を変更したことが24日、分かった。
保険会社の対応が変わり、後遺症に苦しむ障害者の救済につながると期待される。
保険各社はこれまで障害者が事故に遭って別の部位にしびれなどの後遺症が出ても、「神経系統は同一の部位だ」などと主張し、同機構の運用方針に従い、原則として自賠責保険の支払いを認めなかった。
交通事故で新たな障害を抱えても、自動車損害賠償責任(自賠責)保険の救済対象としない保険会社の運用に対しては、障害者から問題視する声が上がってい
た。
筆者プロフィール 春美
保険会社にて商品開発業務の仕事をしてきました。結婚を機にいったん退職しますが、その後も自動車保険のコールセンターで勤務。
現在は子育て主婦をしながら、そのときの経験・知識をもとに皆さんに役立つ自動車保険サイトを作っています。
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