アクセルとブレーキを踏み間違えてしまった。このことが原因の交通事故を耳にする機会が多いですね。高齢化が進むに伴い、高齢者ドライバーや認知症の方の運転操作ミスによる事故は年々増えています。

さて、アクセルとブレーキの踏み間違えによる事故は、高齢者ドライバーに限ったことではありませんね。
このような運転操作ミスによる事故を起こしてしまったら、自動車保険は使えるのでしょうか。

対人・対物賠償保険の場合

対人・対物賠償保険では、故意による事故や戦争・自然災害等による事故では保険金支払いの対象外となります。
「アクセルとブレーキの踏み間違え」といった過失は、被害者救済の観点から補償対象となり保険金が支払われます。
（実は酒気帯び運転や無免許運転だとしても、被害者を救済するために保険金が支払われています）

ただし、同居中の親族などが被害者の場合、保険金が支払われないこともありますのでご注意ください。

人身傷害保険・搭乗者傷害保険・車両保険の場合

対人・対物賠償責任保険は「相手のための保険」でしたが、人身傷害保険等の「自分のための保険」の場合はどうでしょうか。

人身傷害保険等では「被保険者の故意または重大な過失によって、その本人について生じた損害」については、補償の対象外となっています。
ここで「アクセルとブレーキの踏み間違えが重大な過失に該当するかが」重要になります。

裁判所の判例によると、重大な過失とは
・時速30km以上の速度超過
・酒酔い運転
・居眠り運転
などのことを言っています。
ブレーキとアクセルの踏み間違えてについては「よくある運転操作ミス」と考えて、重大な過失とみなされていません。

したがって、アクセルとブレーキの踏み間違えによる事故では人身傷害保険等も支払われる可能性が高いです。

踏み間違えを防ぐために

アクセルとブレーキの踏み間違えでも、保険金が支払われることがわかりました。
ただ、保険金が支払われるからといっても、「踏み間違えても大丈夫」ということではありません。

少しでも運転操作に自信がないのであれば、運転を辞めるというのも1つの方法です。また踏み間違えの防止のために、2つのペダルを1つのペダルにすることも可能だそうです（ナルセ機材有限会社の「ワンペダル」という商品です）。

今後、高齢者ドライバーがさらに増えると、こういった事故も増えることが予想されています。高齢者ドライバーご自身やご家族の方は、運転について今一度考えていただければと思います。

なお、ペダルの踏み間違え事故は高齢者ドライバーに限ったことではありません。若い世代の方も十分に気をつけて運転することを願います。