日本はかつてない超高齢化社会を迎えています。それに伴い認知症を患う方も増え続けています。2025年には、認知症患者数が700万人に達する推計もあり、社会問題となっています。

認知症の方の交通事故が増えている

認知症を患う方が増えると共に、認知症患の方が起こした交通事故も増えています。

2016年10月、横浜市港南区で87歳の認知症男性が運転する軽トラックが集団登校の列に突っ込み、7人の小学生が死傷する痛ましい事故がありました。

また、205年10月に73歳の男性が宮崎市の歩道を約700メートルにわたり暴走し歩行者6人を死傷させる事故もありました。加害者の男性は数年前から認知症を発症しており、症状が出てから複数回に渡って交通事故を起こしていました。

認知症患者の事故で自動車保険は支払われるのか？

もし、認知症の方が自動車事故を起こしてしまったら自動車保険で補償されるのでしょうか。

対人賠償保険・対物賠償保険といった「相手への補償」については、自動車保険で補償されます。
自賠責保険と同様に、対人・対物賠償保険は「被害者を保護すること」が目的であるので、認知症であっても問題ありません。

ただ、人身傷害保険や搭乗者傷害保険といった「自分への補償」となると、話は違います。
これらの約款では「被保険者の脳疾患、疾病または心身喪失によって生じた損害または傷害」については、保険金を支払わない旨を明記しています。
認知症は脳疾患の一種ですので、人身傷害保険や搭乗者傷害保険に関しては保険金を支払われない可能性が高いです。

高齢者の運転は、家族でよく話し合って

3月より75歳以上の方が免許を更新する際に、認知機能検査が必須となりました。認知症と判断されれば、免許取消となることもあります。

認知症と診断されていなくても、加齢と共に認知機能は低下します。もしものことが起きてからでは遅いです。高齢者の方は少しでも運転に不安があれば、勇気を持って運転を止めることを願います（免許を自主返納すると、自治体によっては特典もあります）。

また高齢者ドライバーのご家族の方も、運転についてしっかり話し合って欲しいと思います。認知症で事故を起こした場合、加害者の責任能力が問われない場合でもご家族の方が「監督責任」を問われることもあります。
高齢のご家族の運転について、心配であればしっかりと話し合いができるといいと思います。