車両保険金額は自由に決められない!
自動車保険に加入するとき、それぞれの補償の保険金額を加入者自身が決めることができます。ただ、車両保険に関しては、自分の希望通りの保険金額を決めることができません。
では、どうやって決めるのでしょうか?
車両保険の金額は、損害保険料率算出機構が半年ごとに発行している「車両標準価格表」(車価表といいます)に記載された金額を元に算出します。
車価表には、自動車の型式と初度登録年度から算出した、大まかな時価額(〇〇円〜△△円というような)が記載されています。
この記載された金額の範囲内で、保険金額を決めるのです。
車両保険では、全損のときでも時価額以上の保険金は支払われません。無駄に多くの保険金額を設定することを避けるためにも、車価表を参考にして、時価額に近い金額で契約する必要があるのです。
全損でも保険金が満額でないこともある
車価表を元に車両保険金額を設定することで、ある程度は時価額に近い金額で保険契約をできます。しかし、車価表に記載された金額はあくまでも大まかな時価額ですので、実際の時価額とは異なることもあります。
事故に遭った時、車の時価額から損害額を算出しますが、走行距離や色、車両の状態などの詳細な情報を元にして、中古車市場のデータから時価額を算出します。
つまり、契約時と事故時では、時価額の算出する方法が異なるのです。ですから、車価表で決めた保険金額と実際の時価額との差異が生じることがあります。
仮に保険金額が実際の時価額より高く設定されていたとしても、たとえ全損であっても実際の時価額まで(保険金額より低い額まで)しか保険金を得られません。
それなら契約のときに詳細なデータを元に保険金額を設定すればいいのではないか、と思う方もいるでしょう。
しかし、1台1台時価額を査定すると非常に手間がかかります。ダイレクト自動車の場合、対面販売しないので無理です。
それに時価額というのは変動するものなので、契約時に算出した時価額が事故時と同額であるとは限らないので、契約時に詳細な時価額を算出しても保険金額と差異が出ることもあるのです。
契約時に、簡易的にかつなるべく時価額から乖離しない金額で車両保険金額を設定するには、やはり車価表を元に保険金額を決定するのが現実的にベストなのでしょう。代理店や保険会社は、車両保険を契約する加入者に対して、このような説明をしっかりしていただきたいものです。
中古自動車の買取査定をしている夫に起きた出来事
この記事を書くにあたり、ひとつ思い出した出来事があります。
私の夫は、自動車を査定して買い取る仕事をしているのですが、あるお客様の車を査定した時にこんなことを言われてしまいました。
「こんなに査定額が低いのか。詐欺だな。保険代理店をやっている知り合いから、相場が掲載された本を見せてもらった。その本だともっと高い金額だった。わざと低い金額で買い取るつもりだろう。」
もうお分かりだと思いますが、このお客様は車価表に書いてある金額を見せてもらっていたのです。車価表の金額を時価額だと聞いていたため、このような発言をしてしまったのです。
この話を聞いて、夫に車価表のことを教え、実際の中古車市場の時価額とは違うのだと説明しました。
この件以降も、同じようなことが何度かあったようですが、車価表と中古車市場の時価額は異なることをはっきりと説明できるようになったようです。
「車価表の金額=自分の車の時価額」だと思っている加入者は多いと思います。
全損時に、保険金額が満額でないことでトラブルにならないよう、加入時にしっかり説明することを徹底して欲しいですね。
筆者プロフィール 春美
保険会社にて商品開発業務の仕事をしてきました。結婚を機にいったん退職しますが、その後も自動車保険のコールセンターで勤務。
現在は子育て主婦をしながら、そのときの経験・知識をもとに皆さんに役立つ自動車保険サイトを作っています。
詳しい自己紹介はこちら
私が保険会社で勤務していた頃からダイレクト自動車保険が増えてきて、同じ自動車保険でも保険会社によって料金が大きな違いが見られるようになってきました。ある人にはソニー損保社では安くても、別の方ではセゾン社のほうが安いということもよくあります。
損をしない自動車保険選びのためにも、検討のときは必ず各社の料金を比較しましょう。私もおすすめしている保険スクエアbangでは、最大20社の自動車保険を無料でまとめて見積もりすることが可能です。
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