調査で分かった、「ディーラーから保険加入」の満足度の低さ

J.D.パワーアジア・パシフィックの「2016年日本自動車保険新規加入満足度調査」によると、車のディーラー・販売店で加入した顧客の満足度は、保険専門代理店で加入した顧客の満足度を大きく下回ることが分かりました。

ディーラーでの自動車保険新規加入者、顧客満足度は低調

正規ディーラーで加入した顧客の満足度は554ポイントと、保険専門の代理店で加入した顧客の満足度590ポイントを大きく下回ることが明らかとなった。
また、契約時の窓口に関わらず、保険契約に至るまでのプロセスにおいて加入した保険のみが提案された場合の満足度は559ポイントで、他社の見積もりも取得して比較した場合の満足度587ポイントを下回っている。

正規ディーラーでの加入者は、他社の見積もりを取得しなかった割合が78％で、保険専門代理店の65％を上回り、ディーラーで提示された1社の保険会社と契約する割合が高い現状となっている。このような状況下では、顧客にとって複数保険を比較検討し選択する機会とならず、満足度が高まる余地は限られてしまっていると考えられる。

満足度が低い理由は、「提案の少なさ」

自動車を購入するときに、そのディーラーでまとめて自動車保険にも加入する方が多いでしょう。
自動車の購入に関して尽力してくれた担当者が保険手続きまでしてくれると、初めて保険に加入する方には心強いし、ディーラーで保険に加入をするとオリジナルの特典が受けられる場合もあるので、顧客にとってディーラーでの加入はメリットが大きいように思われます。

しかし実際は、ディーラーで加入した方の満足度は、保険専門代理店で加入した方の満足度よりもずっと低くなりました。

満足度が低い要因は、1社のみしか自動車保険を提案してくれないディーラーが多いことにあるようです。
ディーラーで1社のみの自動車保険しか扱っていないのであれば仕方ないのですが、実際は複数の自動車保険を扱っているディーラーがほとんどです。複数の自動車保険を扱っているにも関わらず1社しか提案しないのは、加入者に対して選択肢を与えないことになりますね。

「顧客軽視」ともいえる保険販売の実態と裏側

では、複数の自動車保険を扱っているにも関わらず、1社のみの見積もりしか出さないのにはなぜでしょうか？

それはディーラーの仕事は「車を売ること」が中心なので、保険の加入業務については、それほど力を入れていないことがあります。

また複数の自動車を扱っていると、それぞれの保険会社の担当者がいます。ディーラーの担当者と保険会社の営業担当者の親密度によって、最初から加入者に勧める保険会社を決めてしまっているケースもよくあります。

以前私が勤めていた保険会社でも、「保険会社の社員に新車を購入してもらった数に応じて、その保険会社をお客さんに紹介するディーラー」の話を聞いたことがあります。
これじゃお客さんの満足度が上がるわけありませんし、顧客軽視と言われても仕方ないですよね。

保険の代理店業務をしている以上、保険会社との付き合い云々に関わらず、加入者に幅広い選択肢を与えて顧客満足度を上げてもらいたいものです。

また加入者の方自身でも、すべてをディーラーの担当者に任せるのではなく、保険の情報サイトや比較サイトなどで情報を得ておき、より満足度が高い保険に加入できる機会を作ることも大切でしょう。
あなたの自動車保険、販売する側の都合だけで決められているかもしれませんよ？