元保険会社社員が明かす得する自動車保険選び

赤字覚悟で「おとなの自動車保険」の契約増を目指すセゾン自動車火災保険

代理店を介さずに加入できる「ダイレクト型(通販型)保険」は1997年に登場し、今年で20年になります。
パソコンやスマホが普及し、インターネットへの接続が生活には不可欠となっています。

ダイレクト保険の中でも代表的な保険はダイレクト自動車保険です。ダイレクト自動車保険のCMを見ない日はありません。
しかし世の中に普及しているのかと思えば、ダイレクト自動車保険の市場シェアはわずか7%
90%以上が従来の代理店型自動車保険です。

「おとなの自動車保険」は9年連続赤字

CMでおなじみの「おとなの自動車保険」を販売するセゾン自動車火災保険は、9年連続赤字という厳しい状況にあります。

赤字の要因をセゾン自動車火災保険の社長である梅本武文氏は、「契約獲得のためのプロモーション費用がかさんだこと」と言っています。プロモーション費用をかけてでも、いまは契約数を増やすことを優先し、今後の黒字転換を目指しているとのことです。
代理店等の経費を抑えて保険料の安さを実現しているダイレクト自動車保険ですが、実際は期待してるほど経費を抑えていないんですね。

私もおとなの自動車保険の加入者なのですが、この記事を読んでまず思ったのが「万が一の時に、保険金が正しく支払われるのか」と言うことです。
素人考えなのですが、赤字が続いてると保険金に支払うお金が無くなるのではないかと思ってしまったのです。

セゾン自動車火災保険のソルベンシーマージン比率(支払い余力を示す指標)を調べると、2015年度末で700%を超えています。
2012年は1000%を超えていたので数値は下がっていますが、支払いに関しては赤字であっても問題ないことが分かり少し安心しました。

しかし今後はあと3年は赤字の予定であるとのことです。
もし2020年度に予定通りの黒字転換をしなかったら、プロモーション費用を削減するのか、それともプロモーション費用はそのままに、保険料を上げることで黒字回復を目指すのか。
色々思うところはありますが、私は今のところおとなの自動車保険に魅力を感じているので、予定通りに黒字転換になることを期待したいです。

参考記事 セゾン自動車火災の「おとなの自動車保険」の分析

未だに強い代理店販売の自動車保険

先ほども述べましたが、自動車保険の90%以上が代理店型の自動車保険です。
ダイレクト自動車保険各社はテレビCM等のプロモーション活動を活発に行なっているにもかかわらず、シェアが1割にも満たず、代理店型自動車保険の圧倒的な強さを示していますね。

おとなの自動車保険のターゲット層である40代50代の方は、自動車を運転し始めて20年以上のベテランドライバーが多いでしょう。
任意自動車保険に加入している年数も同じくらい長いと思います。そうなると、特定の代理店と長く付き合いのある方が多いと思います。

長く付き合いのある代理店があると、
「契約を更新しないと、代理店さんに申し訳ない」
「今更保険を切り替えるのが面倒くさい」

という方も多いのはないでしょうか。
そういった層をダイレクト自動車保険に取り込むのはなかなか困難ですね。

参考記事 自動車保険を通販型に切り替えたい!代理店さんへの上手な伝え方とは

それでも、おとなの自動車保険には期待したい!

9年連続の赤字。未だに強い代理店自動車保険。セゾン自動車火災保険の状況は非常に厳しいですが、加入者としては不満もないですし、継続して行くつもりです。
アルソックと提携した事故対応サービスや7月より始まる「つながるボタン」サービスにも期待したいです。

個人的には、40代50代の保険料が安いことよりも、「最も自動車を運転する頻度が高い人の年齢に合わせて契約できる」ことが、おとなの自動車保険の強みだと思っています。子供が運転するようになっても、子供の年齢に合わせた契約にする必要がないのです。
40代50代の方の中には、子供が運転するようになる方も多いと思います。こういった点も積極的にプロモーションしていけば、契約者も増えるのかなと思います。

(以下はインタビュー記事からの一部抜粋)

「おとなの自動車保険」3年半で契約倍増に向けた一手は

損保ジャパン日本興亜の子会社で、40代、50代を主な対象にした「おとなの自動車保険」を手掛けるセゾン自動車火災保険。
インターネットなどを通じて加入するダイレクト系市場全体が伸び悩む中、規模拡大に向けた青写真を聞いた。

──保有契約は増えていますが、業績面を見ると9年連続最終赤字で厳しい状況が続いています。

 今の赤字は、計画的な赤字として捉えています。仮に新規契約の獲得をある程度抑制すれば、今の段階でも黒字にできる側面はあります。
ただ今は、利益の源泉となる保有契約をとにかく拡大させて、一定のシェアを握ることを経営の最優先課題としています。

 当社に限らずダイレクト系損保は、代理店のコストは掛かりません。
ですが、インターネットやテレビ広告をはじめ契約獲得のプロモーション費用がかさみ、コスト高となって利益を大きく押し下げる収益構造になってしまっているのが現状です。

筆者プロフィール 春美

保険会社にて商品開発業務の仕事をしてきました。結婚を機にいったん退職しますが、その後も自動車保険のコールセンターで勤務。
現在は子育て主婦をしながら、そのときの経験・知識をもとに皆さんに役立つ自動車保険サイトを作っています。
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[重要] 一括見積もりで安くて良い自動車保険を探す!

私が保険会社で勤務していた頃からダイレクト自動車保険が増えてきて、同じ自動車保険でも保険会社によって料金が大きな違いが見られるようになってきました。ある人にはソニー損保社では安くても、別の方ではセゾン社のほうが安いということもよくあります。

損をしない自動車保険選びのためにも、検討のときは必ず各社の料金を比較しましょう。私もおすすめしている保険スクエアbangでは、最大20社の自動車保険を無料でまとめて見積もりすることが可能です。

自動車保険を上手に節約している方はこのような一括見積もりサービスを活用している方が多いですね。

【一括見積もりできる自動車保険の一覧】

保険会社名 会社の規模・特徴
ソニー損保 評価の高いネット系保険会社
セゾン自動車火災保険 30~40代が特に安い中堅保険会社
チューリッヒ損保 外資系中堅保険会社
SBI損保 低価格路線のネット専業保険会社
あいおいニッセイ同和損保 国内の大手保険会社
AIU保険 外資系保険会社。代理店力に強み。
損保ジャパン日本興亜 国内の大手保険会社。価格は高め。
東京海上日動火災保険 国内の大手保険会社。価格は高め。
共栄火災損害保険 国内の中堅保険会社。価格は高め。
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